スターチャンネルEXで配信されているドラマシリーズ『ZeroZeroZero 宿命の麻薬航路』の解説記事です。イタリア製作ですが、イタリア、アメリカ、メキシコと世界をまたぐ群像劇で、日本でもなじみがある顔ぶれとしては、デイン・デハーン、アンドレア・ライズボロー、ガブリエル・バーンも出演。麻薬組織と繋がった海運業一家を演じてます。

特徴としては、麻薬ビジネスを〈流通〉の視点から描いていることで、抗争とか捜査とかも描かれてはいるが、むしろ巨大化した業界の運営と、そのシステムの中で生きる人たちのドラマを情感に溺れることなく描いてみせた硬派アプローチ。エピソードごとに時系列をいじってくるのがたまにうるさいと感じるものの、それも最終的にはビシッと決めてくるし、モグワイが担当したアンビエントなスコアもあいまって独特のテイストを持っている(アンビエントスコアの麻薬ものとなるとどうしても『トラフィック』は連想するけれど)。
原作は『死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国』のロベルト・サヴィアーノによる『コカイン ゼロゼロゼロ: 世界を支配する凶悪な欲望』。サヴィアーノのタッチはちょっとカッコつけすぎていて苦手意識があるんですが、ドラマの方は数あるドラッグものでも壮大なスケール感と硬派な乾いたタッチで同居していて好きです。あといつものことですけど、今回はどことなくパンキッシュなアンドレア・ライズボローが最高。
『ZeroZeroZero 宿命の麻薬航路』
ZeroZeroZero/2019-2020/イタリア
クリエイター:Leonardo Fasoli、Mauricio Katz、Stefano Sollima
出演:アンドレア・ライズボロー、デイン・デハーン、ガブリエル・バーン